日本話し方センター社長・横田章剛のブログ

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2023年9月18日今の上司に求められることとは?


★上司と部下に上下関係はない


私は大学卒業後、銀行に勤め、1990年に管理職になりました。今から30年以上前です。

その頃の会社の雰囲気はまさに昭和そのもので、部下は上司に従うことが当たり前とされていました。もちろん、部下が上司に自分の意見を言うことはありましたが、上司が命令したことを実行するのが部下の役目、という認識が極めて一般的でした。

そして、多くの人がその関係に疑問を感じなかったので、コミュニケーションを取る上でも大きな齟齬はありませんでした。思い返してみると、あの頃の上司は、『自分に与えられた権限を行使して部下に命令することが主な仕事』だったように思います。

しかし、バブルがはじけた1995年頃から上司・部下の関係に変化が起こり始めたように感じています。『上司と部下は役割が違うだけであり、どちらが上でどちらが下というものではない』という考え方です。

そして、今では、上司、部下、という表現そのものが適切ではないという考え方を持っている人もいます。こうした変化を受けて、上司は『自分に与えられた権限を行使する人』というよりも、『自分に課された責任を果たす人』という捉え方が主流になりつつあります。

しかしながら、昭和・平成の頃から上司だった人の中には、こうした変化に気付いていない人も少なくないように思います。そして、それが現状の職場のコミュニケーションを難しくしている一因なのでは、と思っています。


★上司が果たすべきは『説明責任』


さて、こうした変化の中で上司に課された責任の中で重要なものになってきているのが『説明責任』です。

上司が決めたからそれを実行しろ、と命令するのではなく、
『なぜそれをやるのか』
『それをやるとどういう効果があるのか』
『他のやり方はなぜ採用しないのか』
など、関係者が納得し合意できる説明をする責任があるのです。

関係者が納得できる説明ができれば、彼ら彼女らは当事者意識を持って自ら動くことができます。その結果、より高い成果を上げることができます。

そして、この説明責任は、今やリーダー(上司ではなくリーダーの方が表現としてはよいですね)だけでなく、メンバー(部下という表現もメンバーに変えます)にも求められるようになってきています。

 

★論理的な説明をする


ところで、この説明責任を果たすには主に2つの要素が必要です。

一つは、論理的に納得できる説明をすることです。

論理的とは、聞き手に少なくとも「本当にそうなの?」「それだけなの?」と思われないということです。

こうしたい、という説明をしても、メンバーがその理由に納得できないと「本当にそうなの?」という反応になります。また、その理由を聞いて「でも、こういう場合はどうなんだろう?」と想定されていることが抜けていると「それだけなの?」という反応になります。

この2つの疑問はロジカル・シンキングの基礎的な項目です。これらの疑問が持たれないようロジックを組み立てる必要があります。


★相手が共感できる説明をする


2つ目の要素は、相手が共感できる説明をすることです。

人間は感情の動物です。理屈では納得できても、感情的に共感できなければ説明を受け入れることはできません。

例えば、論理的には筋が通っていても多くの社員に多大な残業を強いるものであれば、その点にも配慮した説明が必要でしょう。

「会社の利益になるからやれ!」では人は積極的に動こうとはしません。残業が増加するデメリットを超える社会的な意義や直接的なメリットをきちんと説明する必要があるのです。

 

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話というのは、人に動いてもらうことが目的であることが少なくありません。そのためには、論理的に納得できて感情的に共感できる話をせねばなりません。

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